年 ヨハン・ヨアヒム・ヴィンケルマン美術史家 年

年イタリアの美しい町ポンティーヴィーに生まれたヨハン・ヨアヒム・ヴィンケルマンは後に西洋美術史の礎を築くことになる彼の誕生は当時の文化や芸術が激動する時代において運命的な出発点となったしかし彼が生まれ育った環境は決して裕福ではなくその貧しい家庭背景は彼がどのようにして自らの道を切り開くかという試練となった

幼少期から強い好奇心を抱いていたヴィンケルマンは自ら学びを求める姿勢を持っていた皮肉なことにその学問への情熱が彼を未知なる世界へ導くきっかけとなる特に古代ローマとギリシャの芸術への興味は彼の運命を大きく変える要素だったそしてそれにもかかわらず教育機関で正式な美術教育を受けることができず多くの場合独学で知識を深めていった

世紀中頃彼はいよいよ本格的にその名声を広げ始める年にはドイツ語で初めて古代ローマとギリシャ彫刻についてまとめた書籍古典的美術を書いたこの作品によって一躍学界でも注目される存在になったおそらくこの成功によって彼自身も新たな自信を得たことであろう

しかし特筆すべきは年発表の考察という著作だこの書籍では美術作品への感性や批評眼だけでなく美術と人間性との関連についても掘り下げられているその内容から分かるように美術史研究だけでなく人文学全般にも深い影響力を与えることとなったそれにもかかわらず多くの場合その功績が過小評価されてしまうこともあったようだ

またその時代背景として注目すべきなのはヴィンケルマンが活躍した世紀半ばには啓蒙主義思想が花開いていたことだ従来型の宗教的価値観とは異なる新しい価値観や哲学が芽生え始めていたしかしこの新しい潮流との摩擦も少なくないその中でヴィンケルマン自身は自分自身が何者であるかというアイデンティティー探しと同様人間存在そのものについて思索し続けたと思われる

年にはイタリアへ渡りそれ以降数年間イタリアで生活するこの地こそ西洋美術史上最も重要な遺産古代ローマやルネサンス期の名作との邂逅によって影響されたのであるしかしそれでもなお孤独感から逃れることのできない日だったとも言われている当時孤高なる美の探求者として知られるようになっていたヴィンケルマンだがおそらくその背後には多くの葛藤や苦悩が隠されていただろう

年代になると新古典主義運動とも関わり合いながら活動していくその活動範囲はますます広まり多岐にわたる人との交流も増えていったそれにもかかわらず大衆には伝わりづらかった部分もあり新しい考え方への抵抗感とも向き合わざるを得なかった当時多くの画家や彫刻家たちが新古典主義スタイルへ移行していく中一部ではヴィンケルマンこそ真実と称賛されつつも逆風にも晒されたと言われている

年ウィーン滞在中に突如として不幸な事故に見舞われこの世を去ってしまうその死去によって西洋美術史界隈には大きな衝撃波が走ったしかし皮肉なことにその死後まもなくしてから彼の日記や未発表原稿など多くの資料群が公開され更なる評価につながっていったモダニズム的視点から見るとこの瞬間こそ本当に再評価が起こり始めたと言えるかもしれないそして今でもさまざまな場面で参考文献として引用され続け一流アーティスト達への影響力はいまだ健在なのである

今日では西洋美術史のみならず文化全般への貢献度について再び脚光浴びつつありその理念はいろんな形で現代社会でも顕在化している私はこの瞬間を体現するようなアートシーンそれ自体がおそらくヴィンケルマンによって刺激されたものなのだろうそれゆえ死後数世紀経てもなお人がお互いになんとか解釈し理解し合おうとしている姿勢そのものこれこそ歴史的人物による遺産と言えるところなのだと思う